外壁塗装の依頼に関するポイント
公開日 :2021/10/30
最終更新日:2022/ 1/18
「外壁塗装をしなくても、大きな問題はないだろう」と考える方は多くいます。確かに、多少は美観が損なわれても、家の機能自体には差し支えないように感じるかもしれません。
しかし外壁塗装は、美観の向上だけでなく「外壁材の保護」という重要な役割も担っています。
実際に、外壁塗装をせず何十年も放置していると、外壁材だけでなく家のさまざまな部分に不具合が生じるでしょう。こちらでは外壁塗装の必要性や、外壁塗装をしない場合に起こり得る不具合、塗り替えの目安について詳しく解説します。
外壁塗装をしないという選択肢はあるのか
どんな外壁でもメンテナンスは必要
外壁は常に日光や雨風にさらされています。どんな外壁材でもダメージが蓄積すれば、いずれは劣化してしまうもの。定期的なメンテナンスは必須だと考えてください。そこで塗装が大切な意味合いを持ちます。
美観の向上も目的のひとつではありますが、塗装を行う最大の目的は「外壁材の保護」です。
じつは外壁材自体に、防水性はほぼありません。このため塗装されていない状態だと、水を吸ってすぐに劣化してしまいます。何十年と暮らす住まいにおいて、外壁塗装を一切しないという選択肢はあまり現実的ではないでしょう。
見た目がきれいでも見えない部分で劣化が進んでいる
外壁塗装のタイミングは住まいによってさまざまですが、築年数が10年ほど経ったタイミングで検討する方が大半です。なかには築10年経っても、塗装はきれいな場合があります。
しかし見た目がきれいでも、見えない部分で劣化が進行している可能性もゼロではありません。
たとえば外壁材のサイディング自体が劣化しているケースや、見えにくいシーリング部分が劣化している場合もあります。ひとまず築10年ほど経過したら、専門家に状態を見てもらうようにしましょう。
外壁塗装をしないことは節約にならない
外壁のメンテナンス費用は、できるだけ抑えたいと考えて当然です。ぱっと見て問題が見当たらなければ、「外壁塗装なんてしなくても大丈夫」と思う方も多いでしょう。
しかし外壁塗装を一切しないことは、節約にはなりません。それどころか余計にコストを大きくしてしまう可能性もあります。
たとえば外壁塗装だけで施工が済む場合、坪数によっても異なりますが100万円前後が相場です。
一方、塗装の放置が原因でサイディングが劣化してしまった場合、サイディング自体の張り替えを行わなければなりません。この工事には300万円ほど必要になるケースもあります。
外壁の劣化により雨漏りなどが起こると、建物の内部まで悪影響が及ぶでしょう。このため長い目で見れば、外壁は定期的にメンテナンスしたほうが経済的といえます。
外壁塗装をしないことが理由で起きる劣化の症状
外壁塗装をせずにいると、家全体にさまざまな劣化症状があらわれます。代表的なものは「外壁材のヒビやゆがみ」「コケやカビの発生」「住宅内部の劣化」「シロアリ被害」の4つです。
外壁材のヒビやゆがみ
外壁材は吸水力が高く、空気中の湿気や雨などを吸い込んで膨張する性質があります。
逆に乾燥時は縮小しますが、通常であれば塗料が保護しているため、これらの影響はほとんどありません。
しかし塗料が劣化してくると、外壁材は直接湿気にさらされることになります。膨張と収縮を繰り返した外壁材には、ひび割れやゆがみが生じるでしょう。すると今度はヒビを伝って水が侵入し、雨漏りなどの原因になります。
コケやカビの発生
一般的に外壁塗装の塗料には、防カビ剤や防藻剤が含まれています。そのためコケ、カビが外壁に目立つようになってきたら、塗料の効果が不十分と考えられるでしょう。
それと同時に、コケやカビは湿気が多い場所を好むもの。外壁自体が劣化して水分を含んでしまっている可能性もあります。
住宅内部の劣化
外壁塗装が劣化すると、外壁材そのものにひび割れ、ゆがみが生じます。するとそこから水が浸入し、住まいの内部にまで悪影響を及ぼしかねません。
外壁の下地を劣化させたり、さらにその奥にある建物の基礎部分を腐食させたりと、至るところで不具合があらわれるでしょう。建物全体に湿気がこもることで、家の中がカビやすくなるケースもあります。
シロアリ被害
上述のとおり、外壁が劣化すると家の中に湿気がこもりやすくなります。これに伴って注意したいのが、シロアリ被害です。
そもそもシロアリの発生は、家を建てる際の施工不良で、建物内部に湿気が溜まることが大きな原因とされています。外壁の劣化は、これと似た状況を作り出すことになるでしょう。
外壁塗装が必要な目安
基本的に10年ごとの塗り替えが望ましい
外壁塗装の塗料は、10年前後が寿命といわれています。つまり最低限10年ごとに塗り替えれば、塗装の機能をキープできるということです。
ただし、なかには5年程度が寿命のアクリル塗料が使われているケースや、15年~20年が寿命のフッ素系塗料が使われている場合もあります。
迷ったときには一度専門家に見てもらい、メンテナンス周期を確認しておくとよいでしょう。
症状は軽度なうちに対策しよう
劣化が進んだ外壁塗装には、特有の症状が見られます。たとえば、外壁を手で触ったときに白い塗料が手につくことを「チョーキング」といい、これは劣化の初期症状です。
また塗料だけが細くひび割れを起こしている状態は、「ヘアークラック」と呼ばれます。こちらも劣化の初期に起こる症状です。
劣化が進行すれば進行するほど、補修費用はどうしても高額になってしまいます。異常に気づいたら早めに業者に依頼し、軽度のうちに対策をとるようにしましょう。
屋根の塗装も必要になるケースがある
劣化が起こるのは外壁だけではありません。同じように屋根も劣化し、場合によっては塗装の必要性が出てきます。屋根の劣化は、雨漏りを引き起こす大きな要因です。
一般的なストレート屋根の寿命は10年程度。外壁塗装を業者に依頼する予定なら、屋根の状態も併せてみてもらうのがおすすめです。
同じタイミングで塗装すれば足場の費用が安く済み、家全体の塗装を一気にすることで見栄えもよくなります。
まとめ
外壁塗装にはまとまった費用が必要になるため、「できればやりたくない」と感じる方もいるでしょう。
しかし塗装の劣化を放っておくと、家全体の劣化も進み、気づけば外壁トラブルだけでは済まされないかもしれません。劣化の初期症状に目を光らせて、早めに外壁塗装をするほうが、最終的には経済的なメリットも大きいといえます。