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植物やチェアなどの家具を置いて、アウトドア気分も楽しめると人気のベランダ。しかし実際は洗濯物を干す時にしか使っていない、という方も多いのでは?それゆえベランダの防水は、劣化に気づかないことが多いんです。ベランダも外壁などと同じで、定期的にメンテナンスすることが大切です。今回はそんなベランダの防水工事について解説します。
ベランダ防水の構造とは?
下地の上に【防水層+トップコート】という二重構造
ベランダというのは、日常的に雨風にさらされている場所。それゆえ住宅を新築する際、ベランダの床や壁には防水工事が行われます。それは雨水が染み込んで下の階の雨漏りの原因になったり、下地材を腐らせてしまうのを防ぐため。下地の上に、水が染み込むのを防ぐ「防水層」の塗装、またはシートの設置を行い、さらにその上に防水層を保護するための「トップコート」を施工します。
ベランダ防水のメンテナンスはなぜ必要?
紫外線や雨風によって劣化するため
一般的にベランダ防水は、施工した約10年後には劣化すると言われています。ダメージを与える原因は主に紫外線と雨風。紫外線は晴れの日だけでなく、曇りや雨の日も容赦なく降り注ぐため、防水機能を劣化させてしまいます。また、暴風雨などの雨風も、衝撃を与え劣化を早める原因になります。劣化を放置するとさらに進行してしまい、メンテナンス費用がかさむことに。無駄な出費を抑えるためには、こまめに劣化のサインをチェックすることが大切です。
どんな風に劣化する?劣化のサインとは?
ベランダ防水が劣化した際に現れる、代表的な7つのサインと劣化のレベル、そしてそれぞれの対処方法をご紹介します。
表面の色褪せ
(劣化レベル ☆☆☆☆★)
ベランダの表面に施されたトップコートは、紫外線や雨風の影響で、年々白っぽく色褪せてきます。色が褪せたと感じたら、防水のメンテナンス時期。防水層まで劣化する前に、トップコートを塗り替えましょう。
〈対処方法〉トップコートの塗り替え
表面の剥がれ
(劣化レベル ☆☆☆☆★)
表面の剥がれを見つけたら、小さなものでも早めに対処することが大切です。トップコートのみ剥がれている場合は、トップコートを塗り替えましょう。2〜3年で剥がれてしまった場合は、施工不良の可能性があるので、施工した業者に確認を。
〈対処方法〉トップコートの塗り替え
苔や藻の発生、草の繁殖
(劣化レベル ☆☆☆★★)
トップコートが色褪せたり剥がれたり、表面の劣化が進行すると、苔や藻、草が生えやすくなります。草など手で取り除けるものは取り除き、高圧洗浄機などを使って洗い流します。そしてトップコートを塗り替えましょう。
〈対処方法〉清掃後、トップコートの塗り替え
ひび割れ
(劣化レベル ☆☆★★★)
長年紫外線や風雨に晒されることで発生する、ひび割れ。まずトップコートが固くなってひび割れ、さらに進行すると防水層まで固くなり、ひびが入ってしまいます。劣化が進む前にメンテナンスしましょう。
〈対処方法〉
軽度の場合:トップコートの塗り替え
重度の場合:防水層から塗り替え
防水層の浮き
(劣化レベル ☆★★★★)
下地と防水層の間に入り込んでしまった水分が、蒸発することで膨らんでしまった状態です。部分的に浮いている場合は、部分的に防水層を補修し、トップコートを塗り替えます。範囲が広い場合は、防水層全体の補修が必要となります。
〈対処方法〉
軽度の場合:トップコートの塗り替え
重度の場合:防水層から塗り替え
塗膜の膨れ
(劣化レベル ☆★★★★
下地が湿気を含んだまま防水工事を行ったため、その後気化した湿気が内側から防水層を押し上げてしまった状態。軽症であれば膨れた部分を切り取って補修し、トップコートを塗り替えます。広範囲に及ぶ場合は、防水層全体の補修が必要となります。
〈対処方法〉
軽度の場合:一部防水層の補修&トップコートの塗り替え
重度の場合:防水層から塗り替え
雨漏り
(劣化レベル ★★★★★)
ベランダの裏側から雨漏りしている場合、すぐに防水工事をしなくてはなりません。原因は、トップコートだけでなく、防水層まで劣化していること。放っておくと、下地が腐ったり、シロアリなどの害虫が発生したりすることも。場合によってはベランダごと交換しなくてはならなくなります。
〈対処方法〉防水層から塗り替える
場合によっては修繕工事が必要
ベランダ防水 3つの工法
ベランダ防水には、主に以下3つの工法があります。それぞれメリットとデメリットがあるので、あなたの家にぴったりの工法を選びましょう。
①ウレタン防水
ベランダ防水の中で、最も一般的な施工方法。液体状のウレタン樹脂をローラーやハケで塗り、防水層を形成します。どんな形状のバルコニーでも対応可能。継ぎ目がなく、シームレスな仕上がりで美しい。
【単価】3,000〜7,500円/㎡
【耐用年数】10〜15年
【メリット】
・比較的費用が安い
・複雑な形状でも施工可能
・どんな下地でも施工可能
【デメリット】
・ムラなく均一に仕上げる技術力が必要
・経年変化によって亀裂が入ることも
②FRP防水
FRP(Fiber Reinforced Plastics)とは、繊維強化プラスチックの略称。ガラス繊維などの補強材で強化されたプラスチックのことで、軽量かつ防水性・耐久性が高いのが特徴。耐摩耗性にも優れ、屋上駐車場などにも使用されています。
【単価】4,000〜8,000円/㎡
【耐用年数】12〜20年
【メリット】
・強度が高いので、椅子などのインテリアを置いて楽しめる
・腐食しづらい
・熱や薬品に触れても劣化しにくい
【デメリット】
・紫外線に弱いのでトップコートの塗り替えが必須
・比較的費用が高い
③シート防水
工場で製造された防水シートを貼り付けて施工する防水工事。塩化ビニールやゴム製のシートを、下地に直接貼り付ける工法と、機械を使って固定する工法がある。広い面を一度に短期間で施工可能。シート上にはトップコートを施工しないこともあります。
【単価】3,500〜7,500円/㎡
【耐用年数】10〜15年
【メリット】
・どんな下地でも施工可能
・耐久性・耐火性に優れている
・工期が短い
【デメリット】
・施工中に工事音や振動が発生する
・凸凹がある床には向かない
相場より工事費が高くなるケースは?
条件によっては、相場よりも工事費が高くなってしまうことがあります。
高所の工事のため足場が必要
3階など高所にあるベランダの防水工事は、足場を組まなくてはいけない場合があります。部分的な足場であっても費用はおよそ5〜10万円ほど。もし外壁塗装や屋根塗装を行う予定があれば、同時に施工してしまうのがおすすめです。
ベランダの内部が腐朽している
ベランダの雨漏りが進行すると、内部が腐朽してしまっている場合があります。その場合は、修繕費がプラスされてしまいます。大工事になればなるほど費用はかさむため、腐朽する前にメンテナンスするようにしましょう。
長持ちさせるコツは?
ベランダを長持ちさせるには、定期的にメンテナンスすることが大切です。
【3ヶ月に一度】排水溝の掃除
排水溝に泥や落ち葉が詰まっていませんか?排水溝が詰まると、雨水がスムースに流れなくなり、水溜りができ、防水機能が劣化してしまいます。特にウッドパネルを置いていると気づきにくいので、注意しましょう。
【5年に一度】トップコートを塗り替える
ベランダ防水で最初に劣化するのがトップコート。トップコートをこまめに塗り替えることで、全体を長持ちさせることができます。
メンテナンス費用を抑えるためにも、5年に一度はトップコートの施工を行いましょう。
まとめ
紫外線や雨風にさらされているため、必ず劣化してしまうベランダ防水。劣化のサインが現れていないかこまめにチェックして、大事に至る前にメンテナンスすることが重要です。
ベランダ防水は劣化症状や環境などによって施工方法が異なります。施工業者とよく相談して、ご自宅のに合った工法を見極めて工事を行いましょう。